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発酵と腐敗

 『降りてゆく生き方』という映画を見た。そこで、『発酵道』という本があることを知り読んで感動した。
 めんどくさいが世界を変える、につながっていると思った。
 以下は青森教区の機関紙『中』8月号に書いた原稿です。

 千葉県で造り酒屋として300年以上続く寺田本家というお店があります。そこの当主寺田啓佐さんが『発酵道』という本を出しています。寺田さんは、昭和49年に寺田家に婿養子に入りました。それまで電気商品を販売していた寺田さんは、できるだけ安く材料を仕入れ、出来るだけコストを削減して多く売ることを目指していました。ところが、昭和48年をピークに日本酒が売れなくなり、出てくるのは不平や不満ばかり。店員は一人やめ、二人やめしていったそうです。そして、寺田さんは十二指腸潰瘍になり、手術することになりました。
 
 そこで、生まれて初めて「人間とは?」「生きるとは?」について考えました。自分の病気は直腸の管が腐る病気なのだけれどもどうして腐ってしまったのだろう、どうしたら腐らなかったのだろうと考えていた時、発酵すれば腐らないということに気付きます。発酵も腐敗もメカニズムは同じで、人間にとって有益なら発酵、有害なら腐敗と呼ばれるそうです。自分は今まで肉食過多の食事に大量のタバコ、身の傲慢さ、自分の成功や自分の会社、自分のことばかりを考えてきた。これでは不自然で、調和もせず人からも喜ばれない。発酵している意識とは、本来の自分、本当の自分の意識をいい、自分の利益や欲を捨てた意識のことだと思い至りました。

 人間は発酵も腐敗も選ぶことができる、これからは発酵の道を選び、本物の酒を造ろうと決意します。そのため、材料も本物でなくてはいけないと無農薬米を求めます。原酒に醸造アルコールや添加物を使い元の3倍の量の酒を造っていた製法をやめ、時間を短縮して作る即席の酒造りもやめ、昔ながらの製法で酒を造ることにしました。こうしてできたお酒は、宣伝もせず、営業もしなかったのですが人から人へと伝わり、商売も成り立つようになりました。

 それから発芽玄米酒「むすひ」を7年かけて商品化します。この名前には“神と自然と人を結ぶ”願いが込められているそうです。この発芽玄米酒を飲んだ人から糖尿病や高血圧等が快方に向かったというたくさんの礼状が届くようになり、将に“百薬の長”のお酒が生まれました。手間暇かけて昔の自然の製法にもどったことによって、めんどくさいを行ったことによって、心身共に健康になり、人の役に立つお酒ができました。

 私たちも自分のことばかりを考える腐敗ではなく、人のお役に立つ発酵の生き方を選び、もう一度自然に還って手間暇かけてめんどくさいことにもチャレンジし、本当の自分を生きていきましょう。
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